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2026年8月14日

いま聴いてほしい若手ピアニスト ― 奥井紫麻(Shio Okui)


世界の舞台で経験を重ねながら、これからさらに大きな飛躍が期待される日本の若手ピアニスト、奥井紫麻。

2004年生まれの彼女は、幼い頃からその才能を発揮してきました。

5歳半でピアノを始め、7歳からエレーナ・アシュケナージに師事。8歳で早くもオーケストラと初共演を果たし、12歳のときにはワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団と共演しています。

そして15歳になると、モスクワ・ヴィルトゥオージ室内管弦楽団のヨーロッパ・ツアーにソリストとして参加。ベルリン・フィルハーモニー、ウィーン・ムジークフェライン、プラハのスメタナホール、ハンブルクのエルプフィルハーモニーなど、世界を代表するコンサートホールの舞台を経験しました。

まだ10代のうちにこれほどの国際経験を積んだ、日本でも数少ないピアニストのひとりです。

ロシアで磨かれた音楽

奥井紫麻の歩みを語るうえで欠かせないのが、ロシアで受けてきた音楽教育です。

モスクワ音楽院付属中央音楽学校を経て、グネーシン特別音楽学校では名教師タチアナ・ゼリクマンに師事。2023年には同校ピアノ科を特別表彰を受けて首席で卒業しました。

現在はスイスのジュネーヴ高等音楽院に学び、アルゼンチン出身の世界的ピアニスト、ネルソン・ゲルナーのもとで研鑽を積んでいます。

幼少期からロシアの音楽文化の中で学び、現在はさらにヨーロッパへ。そのバックグラウンドも、奥井紫麻というピアニストを知るうえで興味深いポイントです。

コンクールでも着実に実績を重ねる

奥井紫麻は、幼少期から数々の国際コンクールでも結果を残してきました。

2015年、第1回クライネフ・モスクワ国際ピアノコンクールのジュニア部門で最年少第1位。翌2016年にはモスクワ国際グランドピアノコンクールで最年少受賞を果たしました。

その後も、2022年のパデレフスキ国際ピアノコンクール入賞、2024年のジュネーヴ・フレデリック・ショパン協会「Prix Mireille Klemm」受賞と実績を重ね、2025年にはスイスで開催されたベルン国際ピアノコンクールで第2位を受賞しています。

興味深いのは、コンクールだけを中心にキャリアを築いてきたピアニストではないこと。

幼い頃から世界各地の音楽祭やコンサートに出演し、多くの指揮者やオーケストラとの共演を経験してきました。

すでに世界の舞台を知る、若きピアニスト

これまでに共演したオーケストラも非常に豪華です。

海外ではミハイル・プレトニョフ指揮のロシア・ナショナル管弦楽団、ウラディーミル・スピヴァコフ指揮のロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団などと共演。

日本でもNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団など、国内を代表するオーケストラとの共演を重ねています。

20代前半という若さを考えると、その演奏経験の豊富さには驚かされます。

Piabaseが注目する理由

奥井紫麻さんの魅力は、華々しい経歴だけではありません。

高い技巧を持ちながら、それだけを前面に押し出すのではなく、作品の持つ色彩や歌を丁寧に描いていく演奏。そして、若さの中にすでに感じられる音楽の深さ。

ロシアで培った音楽的な土台と、幼少期から世界の第一線で積み重ねてきた経験が、これからどのような演奏へと結びついていくのか。

2025年には初のソロアルバムとなる『SHIO OKUI IN CONCERT Recorded at Takasaki City Theatre 2025』もリリースされました。

すでに国内外で豊富なキャリアを持ちながら、ピアニストとしてはまだ20代前半。

「これからどこまで進んでいくのだろう」

そんな期待を抱かせてくれることも、若いピアニストを追いかける楽しさのひとつです。

これからの活躍を、ぜひ注目してほしいピアニストです。

Piabaseおすすめの一演

スクリャービン《幻想曲 ロ短調 Op.28》

Fantaisie b-moll Op.28

15歳とは思えない、圧巻のスクリャービン。

最後に、奥井紫麻を知るならぜひ聴いてほしい演奏をひとつ。

スクリャービンの《幻想曲 ロ短調 Op.28》は、複雑な響きの中で長い旋律を歌わせながら、大きなクライマックスを築いていく難曲です。

この作品を演奏した当時、奥井紫麻はまだ15歳。

もちろん、その年齢でこの作品を弾いていること自体にも驚かされます。しかし、それ以上に印象的なのは、難しいパッセージを弾き切る技巧だけではなく、作品全体をひとつの大きな流れとして聴かせる音楽のスケールです。

繊細な響きから一気に押し寄せるようなクライマックスまで、スクリャービン独特の濃密な世界が広がっていきます。

「これを15歳で……?」

演奏を聴き終えたとき、きっと同じことを思うはず。

奥井紫麻というピアニストの凄さを知るために、ぜひ一度聴いてほしい演奏です。