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2026年9月14日

人と被りにくい!ピアノ発表会におすすめの名曲5選

ピアノの発表会で、意外と悩むのが「選曲」。

せっかくなら自分の好きな曲を弾きたい。でも、毎年よく耳にする定番曲とは少し違った作品にも挑戦してみたい――そんな人も多いのではないでしょうか。
ピアノ作品の世界を少し広く探してみると、知名度はそれほど高くなくても、ステージで魅力を発揮する作品はたくさんあります。

今回はその中から、**「人と被りにくい」「聴き映えする」「発表会で弾いてみたくなる」**という視点で5曲を選びました。
派手で格好いい曲から、繊細で美しい曲まで。

定番曲から少し離れて、自分らしい一曲を探してみましょう。

1. ラモー《ヴェネツィアの女》
Jean-Philippe Rameau:La Vénitienne

最初に紹介するのは、フランス・バロックを代表する作曲家、ジャン=フィリップ・ラモーの《ヴェネツィアの女》。

発表会でバロック作品というと、どうしてもバッハを選ぶ機会が多くなります。
そこで、少し違った作品を弾いてみたい人におすすめしたいのがラモーです。

《ヴェネツィアの女》は、軽やかなリズムと優雅な雰囲気を持った小品。
派手な技巧を前面に押し出す作品ではありませんが、音の粒やリズムを美しく整えることで、フランス・バロックらしい気品のある世界が浮かび上がります。

この作品の面白いところは、大きな音や速いパッセージに頼らなくても、演奏次第でしっかりと存在感を出せること。
軽やかなタッチや装飾音、フレーズのニュアンスを丁寧に表現できれば、華やかな作品とはまた違った魅力を聴かせられます。

「バロックを弾きたいけれど、定番とは少し違う曲を選びたい」

そんな人におすすめしたい一曲です。

Premier Livre Suite No.1 La Vénitienne

2. リャードフ《音楽玉手箱(おどけたワルツ)》Op.32
Anatoly Lyadov:A Musical Snuffbox, Op.32

まるで小さなオルゴールから音楽が聞こえてくるような、不思議でかわいらしい作品。

ロシアの作曲家アナトーリ・リャードフによる《音楽玉手箱》です。
曲が始まると聞こえてくるのは、高音域を中心とした繊細な響き。
軽やかなワルツのリズムに乗って、小さな音の粒がキラキラと舞うように音楽が進んでいきます。

演奏時間は短めですが、だからこそひとつひとつの音色やタッチが作品の印象を大きく左右します。

力強さで聴かせるのではなく、繊細なタッチと透明感のある音で小さな世界を作り上げるタイプの作品です。
発表会では華やかで大きな作品が並ぶことも多いため、こうした精巧な小品がかえって印象に残ることもあります。

「その曲、何?」

演奏後にそんなふうに聞かれるような、ちょっと珍しくて魅力的な一曲を探している人にはぴったりです。

Music Box Waltz Op.32

3. メンデルスゾーン《失われた幸福》Op.38-2
Felix Mendelssohn:Lost Happiness, Op.38 No.2

華やかさや速さだけが、発表会で人を惹きつける要素ではありません。

美しい旋律をじっくりと歌わせたい人におすすめしたいのが、メンデルスゾーンの《失われた幸福》です。
《無言歌集》第3巻に収められた作品で、メンデルスゾーンらしい流麗なピアノ書法の中に、どこか切なさを感じさせる旋律が現れます。
《春の歌》や《狩人の歌》など、《無言歌集》には広く知られた作品がありますが、《失われた幸福》はそれらと比べると耳にする機会が少ない一曲。

だからこそ、発表会では**「こんな美しいメンデルスゾーンの曲があったんだ」**という発見につながります。

この曲で大切なのは、旋律をただ目立たせるのではなく、伴奏とのバランスを保ちながら自然に歌わせること。
音量ではなく、音色やフレージングで聴き手を惹きつけることができれば、静かな作品だからこその存在感が生まれます。

「派手な曲より、美しい音で聴かせたい」

そんな人に選んでほしい一曲です。

Songs Without Words Book3 Lost Happiness in c-moll MWV U 115 Op.38-2

4. グリーグ《小妖精(パック)》Op.71-3
Edvard Grieg:Puck, Op.71 No.3

グリーグというと、《抒情小曲集》の美しい旋律を思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし《小妖精(パック)》では、まったく違った表情を見せてくれます。
曲が始まると、小さな妖精が突然現れ、あちらこちらへ飛び回っているような素早い動き。

軽快な音型が次々と現れ、いたずら好きな妖精を思わせるユーモラスで幻想的な世界が広がります。

この曲で重要なのは、単純な速さだけではありません。
軽さ、鋭さ、突然の表情の変化――。
そうした細かなキャラクターを弾き分けることで、音楽が一気に生き生きとしてきます。

冒頭から作品の性格がはっきりしているため、短い時間でも聴き手の印象に残りやすいのも発表会向きのポイント。

美しい旋律を歌わせる作品とはまた違う、**「演奏で物語やキャラクターを表現してみたい」**という人におすすめです。

Lyric Pieces Book 10 Puck Op.71-3

5. ハチャトゥリアン《エチュード》
Aram Khachaturian:Etude

最後は、今回の5曲の中でも特に強烈なキャラクターを持った作品。

ハチャトゥリアンの《エチュード》です。

ハチャトゥリアンといえば、《剣の舞》に代表されるような、力強いリズムと独特の響きが魅力の作曲家。
この《エチュード》にも、その個性がしっかりと現れています。

冒頭から感じられる鋭いリズム。
力強いアクセント。

そして、次々と展開していくエネルギッシュな音楽。

発表会で演奏すれば、最初の数小節から会場の空気を一気に変えられるようなインパクトがあります。
もちろん、勢いだけで押し切ればいい作品ではありません。
リズムのキレやアクセントを明確にしながら、音楽全体の流れをコントロールすることで、この曲特有の迫力が生まれます。

優雅な曲や抒情的な曲とはひと味違う、

「とにかく格好いい曲を弾きたい!」

という人には、ぜひ候補に入れてほしい作品です。

Children’s Album Book 1 “Pictures of Childhood” No.5 Etude

定番から少し離れると、選曲はもっと面白くなる

今回紹介した5曲は、どれも発表会の定番曲とは少し違った個性を持っています。

ラモー《ヴェネツィアの女》の気品と軽やかさ
リャードフ《音楽玉手箱》の繊細で愛らしい世界
メンデルスゾーン《失われた幸福》の美しさと切なさ
グリーグ《小妖精》の幻想的でいたずらっぽい表情
ハチャトゥリアン《エチュード》の鮮烈なリズムと迫力

発表会の曲を選ぶとき、必ずしも「みんなが知っている曲」である必要はありません。

むしろ、あまり知られていない作品だからこそ、聴く人に新鮮な印象を残せることがあります。
そして何より、自分自身が新しい作品と出会えることも、選曲の楽しさのひとつです。

「次の発表会、何を弾こう?」

そんなときは、定番曲からほんの少しだけ視野を広げてみてください。

まだ知らなかった、とっておきの一曲が見つかるかもしれません。